元和2(1616)年創業のヒゲタ醬油(しょうゆ)の銚子工場(千葉県銚子市)は23日、工場内にある高倍(たかべ)神社の元である南房総市の高家(たかべ)神社に、特別限定醸造醬油「高倍」を奉納する神事を行った。江戸時代から伝わる製法による醬油「玄蕃蔵(げんばぐら)」造りの関連で、浜田孝司社長らが参列した。
高家神社は、料理の神様といわれる磐鹿六雁命(いわかむつかりのみこと)をまつり、工場内の神社は分祠(ぶんし)された経緯がある。そのため1997年から奉納を続けている。
同社の松若昭夫・銚子工場長は「玄蕃蔵醬油と同じく、国産の材料で、じっくり造っています」。高家神社の高木幹人宮司は「毎年ありがたいことだと思っています」と話していた。
玄蕃蔵醬油は、同社の創業者である田中玄蕃にちなんで名付けられた。国産の大豆を蒸し上げ、いった小麦と塩を原料に仕込み、約10カ月醸造する。「寒冷期仕込み」と呼ばれている。
20日には工場内で仕込み式を実施。工場の神社に原料を供えた後、麴(こうじ)に塩水を加え、諸味(もろみ)にし、浜田社長が「えいやせ」の掛け声を背に、諸味にかいを入れた。浜田社長は「ヒゲタ伝統の玄蕃蔵醬油は日々の醬油造りの礎。風味風格のある醬油が来年9月には出来上がると思う」と話した。
450ミリリットル入りの2万本が製造され、1本2200円(税込み)で来年9月に出荷される。予約受け付けは同5月から。(根岸敦生)